《キャラバト》白衣の保険医と黒い翼


「なんだ、よ、これ…」


「鎌に性質を付属させておるのぅ…神々でも宿っておるのか?」

戸惑う黒庵に教えるように鸞が分析する。

彼女の役割は“リーダー”
配布される霊力の管理や、仕事を受け渡したりなどをする。


霊力を扱うゆえ、霊力には詳しく敏感だ。

分析などには長けている。


剣はみるみる溶けていき、赤黒く変色していく――


「そうだよ。“焔たる炎歌”(ミカエル)のワードさ」


「…あれか?魔法ってやつ」

忌々しい顔をラスクにむけながら、黒庵は言う。

「うーん…どちらかというと、朱祢ちゃんに近いな。召喚だよ」

「やはり異国の神々は相容れぬ。訳がわからん」

「ははっ、こっちのほうが俺には相容れないさ」


朱祢は呆然としていた。

仲間が、あんなに恐ろしい術を使うなんて。

悲しい反面、体中の神経が、彼女の核が、命令していた。


――平安を保たねば。


役目を、義務を、果たさねば。

危険物を排除し、多くの仲間を守らねば。

それは、長としての美しい思考だった。


とっさに彼女は叫んだ。

【十拳剣】

詠唱である。

「ありがと、なぎたん」

ちゅ、となぎたんにキスをすると、なぎたんは影形なく消滅した。

流れるように星形にキスをし、また何かが現れる。


剣だ。
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