《キャラバト》白衣の保険医と黒い翼
くるりと舞うように跳ね、たんたんとステップをかます黒庵。
ダンスのように美しく、剣はまるで飾りのようだ。
「変な戦い方だね?」
先ほどとは違うやり方だ。
「…はにーを泣かせたくないからな。手加減してた」
インドの戦い方である。
愛剣の時にはあまり使わないが、今は十拳剣だ。
長いくせに軽く、細い。
間合いにいれば手足を軽く広げるだけで、相手に当たる代物。
ステップで逃げに徹しながら戦った方が効率がいい。
たんたんとステップをならすため、全く動きが読めない。
右にいくのか、攻撃に回るのか。
魔力でとっくに肩は治したものの、まためんどくさくなってきたことに、ラスクは笑った。
「ふうん、なら俺も本気だそうかな?」
【ウリエル】
自然に詠唱した。
そのときである。
ゴゴゴ…という地鳴りとともに、大地が盛り上がったのは。
「えっ…」
「だありん逃げろ!」
ひょいっと黒庵を引っ張るようにして下がる朱祢。
大地は盛り上がり、目に見えない巨人が操る粘土のように形を形成していく。
ただの山の一角だった大地に、すごい力が働いているのがわかった。