《キャラバト》白衣の保険医と黒い翼


「竜――ねぇ」


はあ、とため息をついて。


「降参。参ったや。いっぱい体液食べたから、それなりに戦えるかなって思ってたけど。竜ともなれば無理無理。

君たち、何て奴の子供やってんだよ」


ぶう、と不服そうに顔を膨らませた。


「じゃあ、帰りましょうか。ラスクさんの居場所はここじゃないですからね」



そ、と腕をひいて。


「鸞、苑雛、朱祢、黒庵」


彼の愛しい子供の名前を呼んだ。




「頼ってくれて嬉しかったですよ

貴方たちは、私の子供なんですから――もっともっと甘えてください。

親としては嬉しいんですから、それが」



「騒がしてごめんね、皆。朱祢ちゃん、また体液ちょうだいね」


「なっ……やらないから!もう二度と!」

真っ赤になって怒鳴った朱祢に、ラスクは『にっこり』が似合う笑顔で笑って。


風が吹いたと同時に消えた。


「……あ」

「朱祢」


寂しそうな顔をした妻を、黒庵が抱く。

ラスクに向けての顔なのか、それとも親へなのか。


わからなかったが、なんだか嫉妬したのだ。
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