二番目でいいから[完]
八尋は、一体何に対してこんなに謝っているのだろう。
責任も取れないのに、欲望に負けてしまいそうになったこと? それとも彼女に対して?
だったら謝る必要なんてない。
全部私のせいなのに。
「……俺も、二番目の彼氏なんだ」
「え……」
「二番目だってことずっと知らなかったんだけど、つい最近知らされて、それでもズルズル付き合ってるんだ……」
八尋の肩が、わずかに震え出した。
彼の言葉が衝撃的過ぎて、私の頭の中は真っ白になってしまった。
「二番目でも付き合ってる意味ってなんだと思う? ただの情と欲だよ。都合がいいんだ、色々と。最初聞いた時はショックだったけど、浮気はなんとなく疑ってたから、そこまで驚きはしなかった。彼女は社会人で年上だったから、こんなことで傷ついてたらダセーかもって本当は心の何処かで思ってたのかも……」
「八尋……」
「でも、違うよな……卯月の涙を見て、好きってこういうことなんだって思った。俺の恋愛は、ちっとも恋愛じゃなかったって、思った……それこそ、まったく生産性の無い……っ」
「もう、いいよ……」
「……」
「もういいよ、八尋……っ」
背中にぎゅっと腕を回して、八尋を抱きしめた。