曇りのち晴れ
奴隷扱いされて10年。
平凡だった私の生活は、小学校に上がると同時に一気に非凡の生活へ…。
原因はもちろん、今目の前で笑顔を振り回しながら挨拶に答えている橘輝瑠(たちばなひかる)のせいだ。
人前ではニコニコしてるくせに、私の前では性悪丸出し…。
呆れを通り越して尊敬すら芽生え始めるわ。
でも、こんな人気者の橘だけど…
教室に入りさえすれば…
ガラッ
「おはよー。」
「あっ!」
………すれば…
「輝瑠君おはよーっ!」
これがまた人気者なんですよねー!!!!
ほんっとに腹立つ!!
橘が入った途端女子は群がるし、
むしろ橘の隣にさえいれなくなります。
いや、別にいいんだけどさ!
…このバッグどこに置けばいいんでしょう!?
雪崩のように群がる女子に押され、
逃げるように自分の席に行くのはいつもの事。
「あっ、鈴河さん大丈夫?」
こんな時橘から決まってかけられるこの言葉。
「荷物持ってくれてありがとうね、いつもいいって言ってるのに…。」
「……………………………。」
開いた口が閉まらない。
……本当に、なんなんだ、こいつは…!