先輩。
どうしよう…。
机の上に広がっている教科書をぼーっと眺めている。
あの日から、慎矢先輩のあの言葉と、
その時の顔が忘れられない。
『本気で上手くなりたいって思ったからね』
眩しくて、思い出すだけで
ドキドキする。
ふいに、恋って単語が頭の中に浮かんだ。
ドキン…。ドキン…。
「…って、そんな訳なーい!!」
ガターン。
「あ…」
クラスじゅうの視線が痛ーい。
夏菜があちゃ〜って顔してる。
やばっ。授業中だってことすっかり忘れてた。