前を見すえて
「あ‥‥‥‥芳くんかしら」




甲高い女のひとからの電話。

たぶん、新羅のお母様からだ。
俺は咳ばらいヒトつして電話に出る。


「はい。そうですが」


「今から私の言うことを冷静に聞いてください。」



お母様は話し始めた。



新羅が誘拐されたとのこと。
そして、命はない可能性が高く
身代金も間に合わないという。
そして電話口には新羅の悲鳴が聞こえたのだと。

‥‥‥‥‥‥‥冷静で聴け?


バッカじゃねーのっ!?





ぅおおおおおおおおおおおおおおっ



しんら



新羅‥‥‥‥‥


くっそぉーーーーーーーーーーー



俺が守るって決めたのに

ごめ、ごめん!新羅。




無事でいて。



俺が変わりに死んでやる。



だからおまえは生きて


俺の分まで‥‥‥‥






















新羅、新羅だけはずっと笑顔でいて。













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