前を見すえて
「落ち込むな、少年!
まだ青春時代は始まったばかりだぜぃ」
こいつ(柳原 朱羅 やなぎはらしゅら)は
ここんとこ、毎日つっかかってくる。
しゅらの「ら」は新羅の羅と一緒だ。
だからなんとなく、愛着がわく。
「ぅっせぇ。」
俺は冷たく言い放つ。
女なんてかかわりたくもない
どうせ、いつか失うのだから。
「それはひどいよ??少年」
少年、か。
同い年なような気もするが。
「だまれ、ブス。
俺につっかかってくんなゃ」
「ブス、ね。
確かにブスだけど、少年?
君は顔はいいけど、今は性格ブスだょ!」
意味わかんね。
頭大丈夫かよ。
「どっかいけよ!
俺は、お前みたいなお調子者が一番嫌いなんだよ」
俺は座っていた体を勢いよく起こして、
柳原の前に立つ。
「ごめ・・・・・・。
そんなつもりじゃ・・・・・・」
柳原は泣きそうな顔して
去った。
俺の心は完全にさめていた。
傷つけてしまったのになんの思いもない。
ごめん、も悪かった、もかんじねぇ。
は。
俺ももう終わった・・・・・・・・な。