あなたに送ったものでした
姉と2人で来たため、夜さんはどっちが真理か迷っていたらしい。

サッと私の方を向いて

「こんにちは、真理さん。お会い出来て嬉しいです」

そう言い右手を差し出してきたので、私も右手を出して握手した。

いかにも社交辞令っぽくて、何だかむず痒い。

姉と夜さんも握手する。

「はじめまして、姉の奈美子です。」

姉はそう挨拶し、何を思ったのかベラベラと喋り始めた。

「雨だし余計に寒いですね。久々に東京に来たんで戸惑っちゃいました。やっぱり人が多いですね。真っ直ぐ歩くのも一苦労って、田舎者丸出しですよね、私。ははっ」

夜さんは笑顔で返事する。


なぜ普段口下手な姉がこんなに喋っているんだ?

何で私が置いてきぼりになっているんだろうか...

私も姉に負けじと喋ることに決めた。


ちなみに、後に「何であの時あんなに喋ったのか」と姉に聞いてみると

「だって、私も姉らしく頑張らなきゃって思ったんだもん~」

と返ってきた。
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