新撰組異聞―鼻血ラプソディ

6話 血をかぶるは……

目を覚ますと、手に肌触りの良い物が触れた。

体を包む心地好い布、蒲団だと認識する。


部屋の中に人の気配を感じない。


秋虫の鳴き声が静寂の中に響く。



手拭いを巻かれ、目隠しをした瞳には何も映らない。

真っ暗で光を感じない。


蒲団を出て、畳を這い、手探りで障子に向かう。


コツンと指に当たる感触。

そっと掌を広げて、戸をずらす。
障子をやぶらないように。


見えないせいか、神経が過敏になっているのかもしれない。

微かな音や気配も逃すまいとする。



微かに、話し声がする方に向かって、そっと音をさせないように廊下を這う。


話し声は、廊下の奥から聞こえてくるようだ。

息をひそめたような緊張に、体が強張る。

幾つかの単語が数回繰り返される。


会津藩、芹沢、命令、士道に背く者、決行……。



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