新撰組異聞―鼻血ラプソディ
翡翠はおかっぱ頭の瓶底眼鏡に気づき、慌てて姿勢を戻し澄まし顔になる。


「あんた……気の触れちょらん!? そげな頭して土方さんに罰でも食らったん!?」


「はぁ!?」

翡翠に近づき、翡翠のサッカー刈りした髪をツンツンと撫でて訊ねる。


翡翠はおかっぱ頭の瓶底眼鏡に胸の膨らみがあるのに気づく。


「GYAA※◎◇□△☆ーーーっ」

意味不明な翡翠の奇声が轟く。


翡翠はおかっぱ頭の瓶底眼鏡を押し退け、一目散に山南の部屋に駆け込んだ。


「信太さん……!?」

喘鳴と吐き気と寒気で、震え踞る翡翠。


「信太さん、何かあったんですか?」


「お、おかっぱの瓶底眼鏡の……女版き、金八先生が、か、髪型検査してきおったんや……」


翡翠は半泣きになって説明する。


「おかっぱの瓶底……ああ、武田観柳(たけだみり)さんですね 」


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