新撰組異聞―鼻血ラプソディ
過呼吸気味なのか、体の痺れも感じ出す。



雄叫びを聞きつけ、廊下を走ってくる足音が怒涛のように聞こえ、翡翠の目は虚ろ、怯えきっている。




カーーーンッと勢いよく両手で開け放たれる障子。



「総!! 翡翠を襲ったのか!! (・□・;)!!」



土方の怒号に、沖田は胸をはだけたまま、フルフルと首を横に振る。


土方に続き、次々と部屋に雪崩込む隊士。



その数も、その姿も翡翠には耐え難い光景。

寝起きで、浴衣の前をはだけた、下着も何もつけてない胸、胸、胸。


尋常でないほどの震えで、声も出せない。


怯え切った目は焦点が、定まっていない。


震える翡翠の手は、首に巻いたタオルを掴むことさえできないでいる。



ヤバい――。


翡翠の頭の中で、液晶画面いっぱいに打ち出された「ヤバい」の文字がスクロールする。



「翡翠……くん」




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