新撰組異聞―鼻血ラプソディ
「一(いち)との井戸端での会話が聞こえたんでね。
なかなか興味深い内容だった。
総に話す気はない。総なら気付くはずだし。
あの短い時間で、策を練り成功させるには、君が技と基本をしっかり身につけているからだ。
目隠しでの生活は、それを更に研ぎ澄ますかと」


「目隠しで、不自由なく慣れるまで、迷惑にはならしませんか?」


「一石二鳥か、失敗か、試すのも一興だからね」


「考えさしてもろてもよろしいですか?」


「わかった。決まったら伝えに来なさい」


「……はい」


立ち上がろうとすると、土方さんが思い出したように声をあげる。


「翡翠、効果的に基本を徹底させる方法を知らない?
君なら、どうやって教える?」


「ん……、短期間で体重移動と相手の行動を予測し、動ける視野を広げることやと思います」


「それは簡単には身につかないのでは?」


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