サッカー王子と同居中!
「ねー!速いよ!逃げないから離してよ!」
って言っても相ケ瀬くんは無視。
離してくれないなら自分でどうにかしようと思って、腕を振ってみたけれど離れない。
……もう諦めるしかないか。
そして止まった場所は人気のない用具庫の脇だった。
そばには大きな木があるから日陰で涼しいけど、この状況……。
目の前には怒った相ケ瀬くん、そして後ろは用具庫の壁。
久しぶりにこんな近くにいるか変に緊張する。今日まで全然話だってロクにしてこなかったのに。
「……なに俺より先にキスなんかされてんだよ」
開口一番の言葉は……七瀬先輩にキスされたことだった。
しかも俺より先にって。相ケ瀬くんが気にするなんて。
彼は低い声で機嫌悪そうに言って、そのままあたしに近付いてきてキスをした。
ぎゅっと目を瞑ると、その瞬間に相ケ瀬くんは離れた。