私と彼の恋愛理論
「そういう里沙こそ、どうなのよ。」

思わぬ親友の反撃に、私は応戦することなく、無言でサンドイッチを口に運ぶ。

「今朝も会った?」

うふふと可愛らしく笑うまどかに、私は素っ気なく返す。

「まあ、会うには会ったけど、そんなんじゃないわよ。」

「またまた。そろそろデートくらいしてあげれば?」

「うーん、何回も言うけど、年下は無理。」

「えー、意外と里沙には合ってると思うけど。」

さっきからまどかが言っているのは、最近私が出会った三つ年下の男の話だ。

彼との出会いは一ヶ月前、大学の後輩にどうしてもとお願いされて人数合わせで参加した合コンだった。

当日遅番で、指定された店に開始時間から30分遅れて到着した私は、いくら可愛い後輩のお願いでも、安請け合いはするもんじゃないなとすぐに後悔した。

全体的に年齢が若い。

そして、すでにみんな独特のノリで盛り上がっていた。

仕方がなく後輩に遅刻を詫びて席に着く。

隅っこの席でひたすらビールを飲んで、話を聞いているフリをした。

それらしく、相槌くらいは打ってみる。



昔から合コンは苦手だった。

私は、実年齢より少し年上に見られることが多い。

さらに、実際の性格もよく言えば「落ち着いている」、悪く言えば「冷めている」ため、合コン向きではないのだ。

とても、会ってすぐの人と盛り上がれるような神経は持ち合わせていないのだ。
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