追いかけても追いかけても
奏多は「うん」と小さい声で言うと中に入って行く。
私は黙々と荷物を整理していた。
そんな私を奏多はじーっと見ている。
「なに?」
「マジで帰るの?」
何を言ってるんだろう。
私がここにいていいはずがない。
「帰るよ」
「そうだよな…」
なんでそんなに悲しそうな顔をするの?
もう期待なんてしたくないのに。
それっきり奏多は黙って私の作業を見ている。
なんだったのだろう。
荷物が片付くと私は挨拶をして部屋を出る。
自然と涙が溢れてきて、1人泣きながら夜道を歩いた。