追いかけても追いかけても


2人は私がいることに全く気づいていなかったみたいで、とても驚いている。

私はもう一度ゆっくりと聞いた。

「どういうことですか?奏多のこと好きじゃなかったの?」

八代さんは気まずそうに目線を下にずらす。
無言が肯定の証だった。


「なにそれ…先輩と喧嘩したから奏多と仲良くしたの?私2人が両思いならって諦めようとしたのに!」

「ごめんなさい…」

ごめん?
奏多の気持ちも私の気持ちも踏みにじって謝って終わりなの?


「奏多を傷つけないでよ…」

気がついたら涙が流れていた。
2人は黙っていたけど、少しして先輩が口を開いた。

< 67 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop