追いかけても追いかけても
「よかったー!次あゆのこと泣かせたら殴るからね」
由紀が奏多を睨みつつ私を抱きしめてくれる。
直樹も肩を叩きながら笑っている。
「お前口に出さなすぎなんだよ」
「伝わってると思ってたから…」
「気持ちは口に出さなきゃ伝わらないのよ!そんな思ってるだけで伝わるなら告白なんてする勇気も、喧嘩する人達もいないわ!」
2人の会話に由紀も混ざって、なんだかいつもの風景だ。
幸せってこういうことなんだなって感じる。
私には奏多も由紀も直樹も大切だ。
「あゆー!置いてくよ!」
「待ってー!」
3人の背中を追いかけ走る。