追いかけても追いかけても


「よかったー!次あゆのこと泣かせたら殴るからね」

由紀が奏多を睨みつつ私を抱きしめてくれる。
直樹も肩を叩きながら笑っている。

「お前口に出さなすぎなんだよ」

「伝わってると思ってたから…」

「気持ちは口に出さなきゃ伝わらないのよ!そんな思ってるだけで伝わるなら告白なんてする勇気も、喧嘩する人達もいないわ!」

2人の会話に由紀も混ざって、なんだかいつもの風景だ。
幸せってこういうことなんだなって感じる。

私には奏多も由紀も直樹も大切だ。


「あゆー!置いてくよ!」

「待ってー!」

3人の背中を追いかけ走る。


< 84 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop