恋愛事案は内密に
月曜日、連敗続きのスーツに身を包み、人材派遣のオフィスに顔を出した。

応接室に通され、郡司さんを待つ。

「おまたせしました」

黒いカバンを持って郡司さんがやってきた。

「ただの顔見せなんで、そんなに緊張しないでください」

郡司さんは愛想笑いをうかべながら話してくれた。

「向こうに経歴はすべて話してあります。好印象でしたよ。向こうも人材確保に急がれているようです。この時期にいい案件ですよ。森園さん」

「え」

確かに4月ともなれば、新入社員が入り、どこも人員が足りている頃だ。

こんな時期に人員が空くなんて、もしかしてブラック企業なんだろうか。

「あ、あのどういう会社なんでしょうか」

「産業用ロボットを主に製作販売する会社です」

「あ……」

黒いカバンから取り出された求人ファイルを見せてもらった。

昔働いていたところの取引先だ。

「森園さんならこの業界にお詳しいと思いまして」

「そうですね」
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