恋愛事案は内密に
天気予報では梅雨明け宣言も出て、ようやく晴れた空を見上げることができても、心のどこかではまだ湿気でベタベタしているようなそんな心持ちだった。

所長とはプライベートでは会うこともないし、もちろん、普段の始業、就業付近に会うことはなかった。

そういえば、このところ、受注FAXが少なく、事務所内の整理整頓をしていた。

過去の受注ファイルを整頓していたときだった。

今年の7月に入ってから若干、受注数が減っていることに気付く。

とくに落ち込んでいるのは、私が前にいた会社だ。

それからその周辺の取引先もところどころではあるが、少なくなっている。

「受注が少なくなってきていますが、どういうことなんでしょう」

「見てください、これ」

高清水さんがパソコンで検索し、表示されたのは、西日本最大の精密機械部品の会社が私たちのいる営業所の近くに営業所を設立したとホームページに書かれていた。

「今まで西日本で数多くの受注数を誇っていたけど、とうとう東日本にも腰を据えてウチらの会社と競争をしていこうってことか」

「だから所長も必死で受注をのばそうとしてるのね。最近の営業の人達、ものすごく忙しいらしいから」

「……そうですか」

このまま受注数が減らないようにしてほしいなあ、と高清水さんがつぶやいた。

私の終業時間が近づいている頃、北野さんが事務室に帰ってきた。

「様子がおかしいのよね」

「えっ」
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