恋愛事案は内密に
「え、いや」

「で、どうしてこの部屋にいるんですか?」

「ちょっと中をみたくて」

「そうですか」

所長はずっと入口に立ち止まったままだ。

プライベートで見せた笑顔も、仕事上で見せるやさしい雰囲気はない。

あたりまえだ。無断で試作室に入ったんだから。

「すみません、勝手に入って」

「同じ社員ですけど、この部屋は所長の許可がなくては入ってはいけないところですよ」

「……ごめんなさい」

「もう入ってしまったからしかたないですね」

バンと扉をしめ、内鍵をかけた。

「所長?」

鋭い視線が体を支配する。足がすくんで動けないところで、手首を持たれる。

ぐっと所長は自身の体に近づけた。

「はなしてくださいっ」
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