恋愛事案は内密に
「僕は別にいいんですけどね」

「ホント、すみません」

「それじゃあ」

やさしい声で返してくれた。

こんな私に声をかけてくれるなんて。

トイレで用を足し、なんとか自分の席に戻り、お水を飲んで落ち着いた。

周囲を見渡す。

さっきの男性は店にいなかった。

芯の通るような話し方だった。

涼やかな笑顔だった。

誰に対してもあの笑顔をするんだろうな。

ただ、この人の目が赤く充血し、まぶたが腫れていた以外は。
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