あの頃の君へ
涙まじりに話す陽子さんの話を聞いて、何かに突き動かされたように家まで走った。
走って、走って、走って。
鍵を開けて家に入ると、机の上に1枚の紙が置いてあり、部屋や洗面所や玄関にあったはずの拓真の物が一切無くなっていた。
「なんで……っ」
散らばった買い物袋から、今朝ケンカした要因のプリンがコロコロと転がった。
きっと拓真は私の分を買ってくるけど、一緒に食べたいって思ったから……
“会いに来て……ごめん……”
今まで聞いたことのない弱々しい声だったのに、私は何もしてあげられなかった。
残された手紙には、
きっともう日本には帰ってこないから、みのりはちゃんと彼氏くらい作れよな。
俺の事は忘れても良いから。
その代わり、みのりは幸せになって。
なんて普段通りの憎まれ口が書いてある。
「ばか……っ!拓真のばか……」