あの頃の君へ
「私……本当に馬鹿だなぁ。何の力にもなれないし、支えてあげられもしなかった…」
「それは違います!」
「でも……っ」
「昨日私が気持ちを伝えないのかって聞いた時、拓真くん言ってました。
“そんな無意味で無責任な事は出来ない”って。
でも私納得出来なくて、そしたら拓真くん……
“そいつが笑ってる顔が見られただけで十分”って……」
「そんな……」
「拓真くんの幸せは吉岡さんって事ですよね。……さぁ、私がここまで言ったんですから、次は吉岡さんの番ですよ」
その目を見てわかった。
森下さん、まだ拓真のことが……でも。
「うん。私、拓真に会いに行ってくる」
すると、森下さんは良かったと微笑んで、英語で病院名と住所が書かれた紙を差し出した。
「昨日、教えてくれないと吉岡さんに全部言うって言って貰いました。もうその時から言うつもりだったんですどね」
「森下さん、ありがとう……」