あの頃の君へ
中から二人の話し声が少し聞こえてくる。
会話の内容まではわからないけど、拓真の声が聞こえた……。
それだけで何かに突き動かされた様に足が動いた。
会いたい……会いに来たんだ!
ガラッとドアを開けて、ベッド周りのカーテンを開ける。
そこにはベッドの上で上半身を起こして、本を手にしている拓真がいた。
「な、んで…みのり…」
「……っ!バカッ!」
駆け寄って思いっきり拓真を抱き締めた。
「ほんとに……バカ……うぅ…っ」
拓真が今ここにいる。
生きている。
それが形としてわかって涙が溢れる。
「何だよ、ちゃんとプリンは冷蔵庫に入れておいたろ」