世界でいちばん、大キライ。
ガチャリ、とリビングのドアが開き、再び顔を見せたのは黒いジャケットを羽織った久志。
麻美と視線が合うと、いつものように一声かける。
「じゃあな。すぐ戻ってくっから」
「ゆっくりしてきても別にいーけど? デートでしょ?」
「はぁっ……!? そんなんじゃないっつーの。オレはただ届けモンを――」
どこか少し慌てた様子で言っていた久志のジーンズから、一定のリズムの音がふたりの間に響いた。
麻美もその音に静止すると、久志はポケットから携帯を取り出して確認した。
「もしもし。曽我部です」
キリッとした顔と声で応答するところを見ると、相手は桃花ではない、と麻美は予測できる。
久志のカチッとした話し方、引き締まった表情。
そこからは、容易に会社関係の相手からのコールだったとわかった。
「どうしたんですか? 急に」
少し戸惑った声を上げた久志をジッと麻美は見つめ続ける。
電話から相手の声は聞こえないが、久志の雰囲気から、大体を把握するために。
「え? ああ、一昨日は大丈夫。ちゃんと自分の家で寝てましたよ。水野さんこそ、大丈夫でしたか?」
『水野さん』とは久志が口にしたものの、まだ明確に電話の主が女性かどうかはわからない。
しかし、麻美の直感で、その相手はおそらく女性だろうと踏むと、久志の様子を観察し続ける。
久志はリビングのドアを開けっぱなしで、廊下の壁に寄り掛かるようにして話をしている。
通話している時は普段よりも少し声が大きくなるのはいつものことだけど、今はさらに言葉を急いでいる様子が窺えた。
しかし、久志の気持ちとは裏腹に、着信主は話を続けているようだ。
そして、一際大きな声を上げる。
「え? 今から……ですか?」
麻美と視線が合うと、いつものように一声かける。
「じゃあな。すぐ戻ってくっから」
「ゆっくりしてきても別にいーけど? デートでしょ?」
「はぁっ……!? そんなんじゃないっつーの。オレはただ届けモンを――」
どこか少し慌てた様子で言っていた久志のジーンズから、一定のリズムの音がふたりの間に響いた。
麻美もその音に静止すると、久志はポケットから携帯を取り出して確認した。
「もしもし。曽我部です」
キリッとした顔と声で応答するところを見ると、相手は桃花ではない、と麻美は予測できる。
久志のカチッとした話し方、引き締まった表情。
そこからは、容易に会社関係の相手からのコールだったとわかった。
「どうしたんですか? 急に」
少し戸惑った声を上げた久志をジッと麻美は見つめ続ける。
電話から相手の声は聞こえないが、久志の雰囲気から、大体を把握するために。
「え? ああ、一昨日は大丈夫。ちゃんと自分の家で寝てましたよ。水野さんこそ、大丈夫でしたか?」
『水野さん』とは久志が口にしたものの、まだ明確に電話の主が女性かどうかはわからない。
しかし、麻美の直感で、その相手はおそらく女性だろうと踏むと、久志の様子を観察し続ける。
久志はリビングのドアを開けっぱなしで、廊下の壁に寄り掛かるようにして話をしている。
通話している時は普段よりも少し声が大きくなるのはいつものことだけど、今はさらに言葉を急いでいる様子が窺えた。
しかし、久志の気持ちとは裏腹に、着信主は話を続けているようだ。
そして、一際大きな声を上げる。
「え? 今から……ですか?」