世界でいちばん、大キライ。
*
遅めの朝食を終え、片付け終えた久志はソファに座る麻美を見た。
「珍しいな」
嫌味でもなんでもなく、本当にそう思ったから久志は口にした。
麻美は久志に指摘された瞬間に、薄らと頬をピンク色にして言った。
「なっ、なにが?!」
「いや、勉強してることも、それをわざわざリビング(ここ)でやってることも」
麻美は桃花から借りてるテキストを胸に押し付けるようにして答える。
「こっ、ここが案外落ち着くから!」
苦し紛れにそういうと、久志と目を合わせられずに目を泳がせる。
そのあたり、鈍感な久志はなにも気に留めずに感嘆の声を漏らす。
「へぇ。でも本当に英語頑張ってんだな。エライエライ」
ポンポンと頭に手を置かれると、麻美は思わず口を結んで顔をテキストに埋めてしまう。
それすらも気付かないで、久志は話を変えた。
「お前、今日家にいる? オレ、今から小一時間くらい出るけど」
「……いるよ」
「あ、そ。じゃ、鍵持たなくていいな」
そう言ってリビングから部屋に戻った久志を見て、麻美はなんとなく、桃花と会うのだと感じ取る。
昨夜の久志の部屋でのグラスの違和感とクマのチャーム。それと、桃花からのメール。
それらを思い出せば、普段誰かと約束なんかほとんどしない久志が出かけるこのタイミングは、桃花が関わっているはずだと麻美は子どもながらに察した。
以前なら……。
そんなふうに女の人と会うだなんて、心底面白くはなかったけれど。
桃花と会って、桃花の人柄に触れてからは、不思議とそういう嫉妬心のようなものはほとんどなくなった。
むしろ、久志に対して苛々するくらいだ。
遅めの朝食を終え、片付け終えた久志はソファに座る麻美を見た。
「珍しいな」
嫌味でもなんでもなく、本当にそう思ったから久志は口にした。
麻美は久志に指摘された瞬間に、薄らと頬をピンク色にして言った。
「なっ、なにが?!」
「いや、勉強してることも、それをわざわざリビング(ここ)でやってることも」
麻美は桃花から借りてるテキストを胸に押し付けるようにして答える。
「こっ、ここが案外落ち着くから!」
苦し紛れにそういうと、久志と目を合わせられずに目を泳がせる。
そのあたり、鈍感な久志はなにも気に留めずに感嘆の声を漏らす。
「へぇ。でも本当に英語頑張ってんだな。エライエライ」
ポンポンと頭に手を置かれると、麻美は思わず口を結んで顔をテキストに埋めてしまう。
それすらも気付かないで、久志は話を変えた。
「お前、今日家にいる? オレ、今から小一時間くらい出るけど」
「……いるよ」
「あ、そ。じゃ、鍵持たなくていいな」
そう言ってリビングから部屋に戻った久志を見て、麻美はなんとなく、桃花と会うのだと感じ取る。
昨夜の久志の部屋でのグラスの違和感とクマのチャーム。それと、桃花からのメール。
それらを思い出せば、普段誰かと約束なんかほとんどしない久志が出かけるこのタイミングは、桃花が関わっているはずだと麻美は子どもながらに察した。
以前なら……。
そんなふうに女の人と会うだなんて、心底面白くはなかったけれど。
桃花と会って、桃花の人柄に触れてからは、不思議とそういう嫉妬心のようなものはほとんどなくなった。
むしろ、久志に対して苛々するくらいだ。