世界でいちばん、大キライ。
*
あれ以来初めての金曜日は、不運なことに桃花は公休だった。
その日特に何の用事もなく、何度店まで足を運ぼうかと思い悩みながらも、結局そこまでの勇気が出せなくて断念した。
そして、その翌日の土曜日。
「桃花ちゃん、休憩いいよ」
「はい。行ってきます」
椎葉に言われ、桃花はカフェエプロンを外して休憩室へと入る。
携帯と財布を手に持って、裏口から出たところにふたりの男が目に飛び込んだ。と、同時に流暢な英語が桃花の耳に入って来る。
「Excuse me.Is there a cake shop around here?」
「え。あー……と……」
「Uh, just, uh one other thing, Can you direct me to the bus stop? I will meet my friend in front of a second stop.」
片方はブロンドの背の高い男性外国人。
そして、話しかけられ少々戸惑う声を漏らした黒髪の純日本人の後姿。
その日本人も負けず劣らずの長身だ。
自然とその言葉が頭に入ると、桃花は躊躇うことなくその外国人に近づいた。
「Let's see. There's one down the street. It's only a few- minute walk. You'll find it on your right.」
「Then, will you tell me what station is?」
「Turn right at the second corner.」
「Oh!Thanks!」
多少聞き取りやすいように相手もゆっくりとは話をしていたが、英語に馴染みのない人間にはなかなかスッとは頭に入らない場面。
しかし、桃花は臆することなく前に出て、堂々と相手の質問に答えた。
そして、満足気な顔でその外国人は白い歯を見せて笑うと手を上げて爽やかに行ってしまった。
桃花はふぅ、と笑顔で振り返していた手を下ろし、隣に立っていた人物に初めて焦点を合わせる。
「えっ!」
あれ以来初めての金曜日は、不運なことに桃花は公休だった。
その日特に何の用事もなく、何度店まで足を運ぼうかと思い悩みながらも、結局そこまでの勇気が出せなくて断念した。
そして、その翌日の土曜日。
「桃花ちゃん、休憩いいよ」
「はい。行ってきます」
椎葉に言われ、桃花はカフェエプロンを外して休憩室へと入る。
携帯と財布を手に持って、裏口から出たところにふたりの男が目に飛び込んだ。と、同時に流暢な英語が桃花の耳に入って来る。
「Excuse me.Is there a cake shop around here?」
「え。あー……と……」
「Uh, just, uh one other thing, Can you direct me to the bus stop? I will meet my friend in front of a second stop.」
片方はブロンドの背の高い男性外国人。
そして、話しかけられ少々戸惑う声を漏らした黒髪の純日本人の後姿。
その日本人も負けず劣らずの長身だ。
自然とその言葉が頭に入ると、桃花は躊躇うことなくその外国人に近づいた。
「Let's see. There's one down the street. It's only a few- minute walk. You'll find it on your right.」
「Then, will you tell me what station is?」
「Turn right at the second corner.」
「Oh!Thanks!」
多少聞き取りやすいように相手もゆっくりとは話をしていたが、英語に馴染みのない人間にはなかなかスッとは頭に入らない場面。
しかし、桃花は臆することなく前に出て、堂々と相手の質問に答えた。
そして、満足気な顔でその外国人は白い歯を見せて笑うと手を上げて爽やかに行ってしまった。
桃花はふぅ、と笑顔で振り返していた手を下ろし、隣に立っていた人物に初めて焦点を合わせる。
「えっ!」