薫子さんと主任の恋愛事情

「それにしても、スゴい人だよなぁ。家族で来てるからか、小さい子供も多いし」

「そうだね。みんな楽しそう」

子供は好き。あのくったくのない笑顔を見ていると、こっちまで笑顔になってしまう。

それにしてもスゴい人。

正午も近いからかレストラン街は人でごった返していて、前に進むのも一苦労。目的のステーキが美味しいと評判の店の前には、行列ができていた。

「かなり待ちそうだね。どうする?」

幸四郎に向かってそう言いながら、一応列の最後尾へと並ぶ。

「もう肉食べる気満々だしな。この様子なら三十分くらいで入れるんじゃないか?」

食べる気満々なんて、幸四郎らしい。

クスッと笑いながら視線を前方に向けると、ひとりの男の子の姿が目に入る。三歳くらいだろうか。右側にお父さん左側にお母さん、その間で手を掴まれてはしゃいでいる男の子。

まだ小さな子供なのに、すでにイケメンという言葉がピッタリの可愛らしい顔。

これはお父さんもさぞ素敵な人なんだろうと興味がわき、ゆっくり目線を上げた。



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