薫子さんと主任の恋愛事情
いくら覚悟を決めたからって、まだお天道様が出ているのにそういうことをするのはどう? 世間一般はどうかわからないけれど、私にそんな度胸はない。
「冗談だよ。どうせここまで待ったんだ。それがあと数時間伸びたって、どうってことない。それより、部屋の片付け手伝ってくれるか?」
大登さんは私をソファーに下ろすと、ちょっと照れたように頭をガシガシと掻いてみせる。その言葉に部屋の中を見渡すと、服があちらこちらに脱ぎ捨てられていた。
今まで何回か来ているけれど、ここまで散らかっているのは初めて。これなら私の部屋のほうが断然綺麗というものだ。
「どうしたの?」
「薫子と付き合うようになってから頑張ってたけど、俺って結構ズボラでさ。片付けや掃除が苦手」
そう言って肩をすぼめる大登さんの姿に、なにかホッとしたものを感じる。
会社のデスクの上や種類の棚はいつも整然と並べられていて、綺麗好きで几帳面だと思っていた。身なりもピシッと決まっていたから、こだわるタイプなんだと勝手に想像していたけど。
大登さんの意外な一面に、心がほっこり温かくなる。