薫子さんと主任の恋愛事情
「一緒ですね。私も得意じゃないけど、大登さんのために頑張ります」
立ち上がって右腕を振り上げると、ソファーに掛かっていたシャツと掴む。
「それは頼もしいけど、ひとりで頑張るな。これからは、なんでもふたりで一緒に頑張ればいい」
隣で立っている大登さんは私の肩を抱くと、頬にキスを落とす。不思議なことになんだかそれだけは物足りなく感じた私は、上目遣いに大登さんを見上げると自分から唇を重ねた。
大登さんは私のそんな行動に、目を開けたまま驚いている。
でも数秒重ねるだけで精一杯の私が唇を離すと、大登さんは目を瞑り何かと戦いだす。
「ダメだ、ダメダメ! こんなんじゃ片付けが進まないだろ。キスは禁止!」
自分に言い聞かせるように大登さんはそう叫ぶと、リビングの脱ぎ散らかした服たちを片っ端から片付け始める。
自分からキスしておいて、「キスは禁止」なんて勝手な言い分。でもいまだに「ダメだ、ダメだ」といって動き回っている大登さんを見ていたら、戦っている相手は理性なんだと気づき、嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちが同時に湧き上がってきた。