薫子さんと主任の恋愛事情
いたたまれなくなってリビングをウロウロしていると、大登さんがバスルームから出てきた。あまりの早さに驚いてしまう。
「大登さん、早くないですか?」
「そうか? 男はこんなもんだよ」
いや、いつもより数段早い。
疑いの眼差しを向けるも、それを軽くかわされてしまう。
「そんなことより、早く入ってこい」
軽く背中を押され、逃げ込むようにバスルームへ急いだ。
髪を洗い、身体もいつもより念入りに洗う。
「何してるんだろ……」
と呆れながらも、何をすればいいのかわからない。
「早く入ってこい」なんて大登さんが言うから、結局律儀に早く出てしまった。
パジャマをきちんと着て、大登さんの待つリビングへ向かう。
私に気づいた大登さんが、手招きしていた。
「俺の前に座って」
言われるがままにソファーに腰掛ける彼の前に腰を下ろすと、ドライヤーで髪を乾かしてくれる。その手付きが気持ちよくて、うっとり眠くなってしまう。