薫子さんと主任の恋愛事情

いたたまれなくなってリビングをウロウロしていると、大登さんがバスルームから出てきた。あまりの早さに驚いてしまう。

「大登さん、早くないですか?」

「そうか? 男はこんなもんだよ」

いや、いつもより数段早い。

疑いの眼差しを向けるも、それを軽くかわされてしまう。

「そんなことより、早く入ってこい」

軽く背中を押され、逃げ込むようにバスルームへ急いだ。

髪を洗い、身体もいつもより念入りに洗う。

「何してるんだろ……」

と呆れながらも、何をすればいいのかわからない。

「早く入ってこい」なんて大登さんが言うから、結局律儀に早く出てしまった。

パジャマをきちんと着て、大登さんの待つリビングへ向かう。

私に気づいた大登さんが、手招きしていた。

「俺の前に座って」

言われるがままにソファーに腰掛ける彼の前に腰を下ろすと、ドライヤーで髪を乾かしてくれる。その手付きが気持ちよくて、うっとり眠くなってしまう。



< 188 / 214 >

この作品をシェア

pagetop