薫子さんと主任の恋愛事情

夕ご飯の片付けも済み大登さんとふたりリビングでお茶をしていると、キッチンの方から湯張り終了を知らせるアラームがピピピッと鳴る。

「お、風呂が沸いたな。薫子、先に入っていいよ」

いつもなら「はい、ありがとうございます」と小走りで脱衣場に行ってしまうが、今日はそうもいかない。お天道様はさっさと姿を隠し、今はお月様が綺麗な姿を現している。

とうとう夜が訪れてしまった。

大登さんに身を任せる──

その気持ちに変わりはない。不安は無くなっても、緊張するのはなかなか消えてくれない。

「大登さん、お先にどうぞ」

「なんだよ、いつもは先に入るくせに。何なら一緒に入るか?」

「そ、それはハードルが高すぎます!」

顔を真っ赤にして怒ると、大登さんは大笑いをしながらバスルームへと消えていった。

普段なら気にならないシャワーの音が、今日はやけに耳につく。

大登さんがお風呂の入っている間に気持ちを落ち着けようと思っていたのに、意識がバスルームに向いてしまい逆効果だ。



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