薫子さんと主任の恋愛事情

アニメやゲームが好きで、完璧なオタク体質。そのせいで友達と呼べる人はほとんどいない。毎日、家と会社だけの往復生活。時々麻衣さんに誘われて夕飯をごちそうになるのと、一週間に一度の買い物が俗世間との繋がりだろうか。後のものは全部インターネット通販で購入して、宅配便で受け取っている。

なんでもっと、外の世界に出ないのか?って。

そんなの簡単なこと。家には大好きな颯が待っていてくれるから。

インターネット通販で買いあさった、颯が関するキャラクターグッズは数知れず。八畳のワンルーム(ロフト付き)の部屋の中は、所狭しと颯であふれていた。

特に一番のお気に入りは抱きまくらで、ほぼ等身大の颯が私に向って微笑む最強の一品。夜は彼を抱きしめて眠り、幸せな時を過ごすのが私の日課だ。

三次元の人間の男性と、付き合ったことは皆無。だからこの世の男性が一体どういう生物なのか、まったくもって分からない。小中高短大と女子だらけの生活をしてきたからか、男性とか変わったのは父親と先生くらい。それも必要最低限しか会話をしなかったから、実際のところ接し方するよくわからないのが実情だ。

現在会社でも、男性とは仕事の話しかしない。まあ私みたいな女に、声をかける男性なんているわけないけれど。

仕事以外のことで声をかけられたところで、返事に困るだけ。煩わしいことは、まっぴらごめんだ。



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