姫は冷血王子の所有物
「えっと…すみません…。」
とりあえず謝るけど、部長の眉間のシワはよったまま。
なんだか気まずくて、目の前のパソコンに目を落とす。
カタカタとキーボードの音が響く中、他の音は何も聞こえない。
聞こえるとしたら、後ろにいる部長の浅い呼吸音だけ。
なんだか妙にドキドキして、落ち着かない。
仕事も手につかなくて、このままではかなり遅れてしまうなとか思ってると、
「なぁ。」
少しだけいつもより低い部長の声が耳に響いた。
「…なんですか?」
急に話しかけられたことによる動揺を隠して、必死になんでもない顔をする。