これが私の王子様
「そう」
「確かに結城君はかっこいいけど、かっこよすぎるって感じかしら。もうちょっと、隙が欲しいわ」
この言葉によって、ゆかは詩織の一面を知ったような気がした。
他者の言動に流されることなく、いわゆる「我が道を行く」タイプ。詩織の発言が面白かったのだろう、ゆかは思わず吹き出してしまう。
その反応に詩織は拗ねてしまったらしく、腰に両手を当てると「もう、案内してあげない」と、意地悪をする。
「ご、御免なさい」
「駄目」
「意地悪」
「だって、笑ったもの」
「謝っているじゃない」
「どうかしら」
「もう」
怒りはじめたゆかに今度は詩織が噴き出すと、冗談で言ったのだから怒らないでほしいと言い拝みだす。
根が優しいゆかにとってこのように謝られると弱く、仕方なく許すことにした。