これが私の王子様

「ゆか」

「し、詩織」

「大丈夫?」

「……うん」

「お父さん、何だって?」

「あのね……」

 ゆかの話に、詩織と薫と直樹は絶叫する。

 一方和人は、驚愕の表情を浮かべながら硬直する。

 そしてゆかは話していた内容に恥ずかしくなってしまったのだろう、顔を紅潮させていた。

「それ、本当!?」

「今、お父さんが……」

 まさか料理の件でここまで発展するとは思ってもみなかったらしく、ゆかはオドオドとしている。

 そして和人にしてみれば、父親のやり方に「流石、無駄に権力を持っている人物」と、評する。

「水沢さんの父親が働いている会社は?」

「えーっと、確か……」

 ゆかが口にした会社名に、和人は納得してしまう。

 その会社はグループ傘下のひとつなので、雅之の権力が及ぶ。
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