これが私の王子様

 しかしいきなり婚約というのは、気分的に重い。

 だから、友達から――

 と、和人は提案する。

「はい」

「改めて、よろしく」

「よろしくお願いします」

 言葉と共に、ゆかは深々と頭を垂れる。

 それに釣られるように、和人も頭を垂れる。

 そして同時に頭を上げ互いの顔を見た瞬間、これまた同時に吹き出すように笑ってしまう。

「で、土日は?」

「はい。大丈夫です」

「本当!?」

「その時は、違う料理を作ります」

「あの時は和食だったら、今度は洋食を」

「頑張ります」

「よし! また、水沢さんの料理が食べられる。その日は、腹を空かせて……沢山食べないと」
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