これが私の王子様

 そして授業の終了を知らせるチャイムが学校中に鳴り響くと同時に、先程までの賑やかさが取り戻された。




 授業終了後、多くのクラスメイトがゆかの周囲を取り囲む。

 以前は、なんという学校に通っていたのか。

 また、どこに住んでいたのか。

 などなど、質問攻めに遭う。

「それより、菅生とどこで会ったんだ」

「登校の途中で、声を掛けられ……」

「で、仲良くなった」

「はい」

「なるほど! あいつの中には「人見知り」という言葉は存在しないから、誰にでも声を掛ける」

「で、暴走する」

 菅生詩織という人物は余程インパクトが強い生徒として認識されているらしく、あれこれと様々な話題が出てくる。

 一方、クラスメイトの話を聞いている詩織は先程から静かで、まるで「嵐の前の静けさ」のようだ。

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