これが私の王子様

 その間も、クラスメイトの話は続く。

 勿論、詩織について話されている。

 そして――

 とうとう、詩織が動き出した。

 ガタっという音と共に立ち上がると、あれこれと面白おかしく話しているクラスメイトに視線を合わし口を開く。

 彼女が発した言葉というのは「これ以上言うと、得た情報をこの場でばらす」というもの。
普通これくらいの脅しには彼等は動じないだろうが、いかんせん詩織は情報通で有名。

 彼等は言われてはマズイ何かを内に抱えていたのだろう、額に大粒の汗を滲ませながら動揺している。

「いやー、ついつい」

「何よ、ついって」

「わ、悪かった」

「私だって、傷付くのよ」

「だから、謝っているって」

「だから……」

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