これが私の王子様

 この場で話し続けていると、本当に知られたくない情報が公開されると思ったのだろう、詩織について話していたクラスメイト達が小走りで逃げていく。

 その後姿に詩織は、悪態をついた。

「詩織って、本当に情報通なんだ」

「何で?」

「だって、皆逃げていったもの」

「それだけ、知られたくないことがあるのでしょ」

「嘘だったの?」

「嘘じゃないわよ。本当に、情報を持っているわ。だけど、ゆかの頼みでも教えられないわ」

「詩織って、敵に回したくないかも」

「酷い!」

 と言いつつも、本気で怒っているわけではない。

 その後二人は、他愛のない話をしながら、次の授業がはじまるのを待つ。

 二時間目の授業は、世界史。

 ゆかは特に苦手な教科ではないが、年号等覚えることが多いので苦労してしまう。

 そして三時間目と四時間目もクラスで授業を受けると、待ちに待った――というか緊張する、昼食の時間がはじまる。

 詩織が例の三人と一緒に食事を取ることを約束しているので、向かうは一階の食堂。

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