これが私の王子様

「ナイス! ゆか。あのテーブルなら、五人は大丈夫ね。で、彼等が来る前に料理を持って来ないと」

「私は、お弁当があるから」

「いいわね。作って貰えて。うちは共働きだから忙しくて、お弁当なんて作って貰えないのよ」

「これ、自分で作っているの」

「ゆか、料理作れるの?」

「うん」

「私も料理が作れたら、自分のお弁当くらい……って、そんな話をしている場合じゃないわ」

 急がないと好きな料理が無くなってしまうと、いそいそと詩織は料理を選びに向かう。

 一人になったゆかは、先程の席が取られてはいけないと確保に当たる。椅子に腰掛け、詩織が帰って来るのを待つ。

 だが、なかなか詩織が戻って来ない。

 ふと、食堂中に女の甲高い悲鳴が響く。

 聞き慣れない悲鳴にゆかは反射的に視線を出入り口の方向に向けると、その悲鳴の理由を知る。

 そう、例の三人が食堂に現れたのだ。彼等の登場にゆかの心臓は一度力強く鼓動すると、徐々に速度を速めていく。
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