これが私の王子様

「俺?」

「そうじゃないか。この前の中間テスト、学年一位だった。その前の定期テストも、満点取っていたし」

「そのテスト、直樹も満点だよ」

「中間テストは、勝てなかった」

「一点差じゃないか」

「僕にとっては、一点は大きい。なかなか和人には、勝てないからね。一度しか、トップになったことがない」

 余程学年トップになれないことが悔しいのか、直樹は溜息を付き続ける。いつになく辛辣な言葉に和人は、苦笑しかできない。

 だが、直樹というライバルがいるからこそ勉学に熱が入ると、友人を持ち上げる。

「和人に言われると、嬉しいな」

「今度も負けない」

「今度こそ、勝ってみせる」

 ふと、熱が籠る二人の言葉に、薫は羨ましそうに反論する。

 野球部のエースで運動神経抜群の薫だが、いかんせん勉学の方はからっきし。何とか赤点は免れたが、一歩間違えれば追試確実。

 一方和人は運動神経抜群で、尚且つ成績優秀。これだけいい部分が揃っていて謙遜するのは許せないと、和人の頬を突っ突く。
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