これが私の王子様

 その悲鳴に薫と直樹は肩を竦め、和人は我関せず状態。

 一方突然抗議の声が上がったことにゆかはあたふたし、身の危険を感じる。しかし詩織だけは堂々としており、立ち上がると腰に手を当て大声を発する。

「何か、文句ある?」

 詩織の質問に、誰もが沈黙する。

 勿論、抗議を上げた生徒の中には上級生も含まれていたが、詩織を敵に回しては厄介だと知っているらしく、反論することはしない。

 してしまえば、知られたくない情報が学校中に広がってしまう。

 だからこそ、言いたくても言えない。

「ゆか、大丈夫よ」

「す、凄い」

「相変わらず、やり方がえげつない」

「そう?」

「お前、いくつ情報を抱えているんだ」

 薫と直樹からの質問に、詩織は意味深い表情を浮かべる。

 その表情から二人が察したのは「とんでもない量を抱えている」というもの。歩く情報網は伊達ではなく、彼女が側にいればゆかは安全だと二人は学習する。
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