これが私の王子様

 和人は普段自転車で登校しているらしく、青色のマウンテンバイクを引いている。

 ゆかは自転車に詳しいわけではないが、外見から「高そう」という印象を抱き、彼がお金持ちだと改めて知る。

 和人はゆかが自分を眺めていることに気付くと、小走りで近付く。そして、遅れてしまったことを詫びた。

「い、いえ」

「行こうか」

「あ、あの……」

「何?」

「友人のお二人は……」

「薫は野球部の練習で、直樹は生物部」

「ゆ、結城君は?」

「俺は、そういうのは面倒だから帰宅部。先輩達から、生徒会に誘われているけど……わからない」

 口振りからして「生徒会も面倒」と読めなくもないが、ゆかにしてみたら生徒会に誘われている時点で「凄い」となる。

 彼女の生徒会の印象は「優秀な生徒の集まり」であって、それに誘われている和人はやはり優秀な生徒。

 詩織の話では学年トップを直樹と争っているほどなので、生徒会の一員になるに値する。
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