これが私の王子様
そのことを和人に伝えると、あまり嬉しくないのか苦笑を漏らす。
彼の言動に地雷を踏んでしまったのかと、ゆかは慌てて謝ると頭を垂れる。そして気分を害してしまったのなら、一緒に帰らなくいいという。
ゆかの発言を聞いていたのか、複数の女子生徒達が「代わりに、私達と帰りませんか」と、申し出る。
「いや、いい」
「どうしてですか?」
「菅生が怖い」
「そ、そうですか」
「だから、水沢さんと帰る」
「仕方……ないです」
彼女達も詩織を敵に回したくないので、ここは渋々ながら引き下がることにする。
それでも後ろ髪を引かれるのか和人を一瞥するも、彼が彼女達の気持ちに応えることは全くなかった。
和人はゆかに視線を合わすと、どのように登校しているのか尋ねる。
和人からの質問にゆかはオドオドとしながらも、自宅から徒歩で駅に向かい電車で登校していることを教えた。