これが私の王子様

 和人の手招きに頷くと、ゆかはいそいそと彼の後を追う。

 それに続くように、女子生徒の悲鳴が響いた。




「水沢さんの前の学校って、どんな感じだった?」

「どんなと、言われても……」

「雰囲気とか」

「この学校より生徒数は少なく、古かったです。それでも友達が多くて、とても楽しかったです」

「今は?」

「詩織が、友達になってくれました」

「菅生を味方につければ、安心だよ。それにちょっと口煩いけど、根はいい人だと俺は思う」

 その意見に納得できるのだろう、ゆかはコクコクと頷く。

 竹を割ったような性格――というのは、まさに彼女に相応しい言葉だろう。現に裏表が無く、さっぱりとした性格である。

 詩織の印象について語っていると、ふと和人の表情が緩んでいることにゆかは気付く。

 思い切ってそのことについて尋ねてみると、重い口を開くかのように自分の過去について話しだす。
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