悲愛日記











ポタリ、冷たい涙が頬を伝う。








またポタリ、ポタリと伝っていく。









「………ゆ、う」









滲む視界でゆっくりと体を起こすと、周りは白で覆われた病院。










「……いかな、きゃ」










私は点滴で繋がれている手も気にせず、裸足で床に足をついた。










ガッシャーーンと大きな音を立てて点滴が倒れる。












「……祐、」










そして覚束ない足取りで、一歩一歩病室を歩いて出た。









「莉子ちゃん……!」











看護師の人に声を掛けられても、気にしてなんかいられない。










祐、祐。










あなたに、逢わなきゃ。










ただ私は無意識のうちに動く足を留めずに、歩いた。









「待ちなさい!」











「……邪魔、しないで」













ねぇ、祐。










どこにいるの…?









今すぐ逢いたいのに。












「待ちなさい!!」











足が、止まった。








ゆっくりと掴まれている手の持ち主に視線を向ける。











「病室に帰りなさい。点滴がまだ終わっていない」











それを気にせず私は歩こうとする。








でも手をしっかりつかまれていて、歩けない。












「祐……。祐に、逢わなきゃ。祐にっ」











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