T&Y in神戸

由香利は、その後やって来た車内販売のワゴンに興味を持ちつつも、小さな嫉妬を覗かせた。

「どうした?何か欲しいものでも有ったのか?」
「ーーーだって…」
由香利が遠ざかるワゴンを凝視する。
「………“だって”?」
「あの人たあちゃんばかり見てたし。」
消えるような小さな声は、俺にしか聞こえない。
「“俺ばかり”?ワゴンを押してた人が?」
「……。」
うん、と頷き俯く由香利……可愛い過ぎるだろ。
「見られてもーーー」
問題ないと言いそうになるのを、止めた。
切符を切った車掌に、俺も似たような嫉妬をしたから。
由香利の手に指を絡める。

「俺も、由香利を誰にも見せたくないし、誰も見てほしくないから。」
分かるよ、と気持ちを伝える。
由香利は照れたのか、耳まで赤くして。
「やきもち、万歳。」
エヘヘ(*´∀`)♪と、繋いだ手を握り返してくれた。



数センチしか離れていない距離。
手を繋いだだけで自然と当たる腕。
小さな冊子を二人で覗きながらの他愛ないお喋り。
時々頬を撫で、繋いだ手の甲に唇を落として愛しさを伝える。


約三時間の新幹線はあっという間に終わった。




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