T&Y in神戸
「由香利…我慢しなくていい。思っていることを言っていいんだ。」
押し込むように部屋に入れ、目についた奥のソファに座らせ、俯くだけで何も言わない由香利の両手を包むように握るとーーー小さな手がさらに小さく感じた。
「ーーー。」
由香利は首を横に振るばかりで何も言わない。
「言わないと、分からない。」
「……だって」
言ってもどうにもならないと囁くように言う。
「……。」
「だって、過去は、どうにもならない、分かってる……」
分かってると言いながら尻すぼみに小さくなる声に。
「ここに来て、“それ”を想像した?」
と問えば。
「っ」
息を飲む由香利の黒目がちな瞳は涙の膜を張る。
「ご、めんなさい、分かってる…のに…」
溢れそうな涙を必死に堪える彼女を抱き寄せた。
胸に涙が染みてくる。
「由香利。我慢しなくていいーーー辛いと言っていいし、俺をなじっていい。」
「たあ、ちゃん…?」
「由香利ーーーお前、そうやって俺に一生遠慮するつもりか?」
“一生”
そう、“一生”だ。